日本頭痛学会の調査によると、本邦の年間片頭痛有病率は8.4%で、30代女性では17.6%、40代女性では18.4%に達する。一方、緊張型頭痛の有病率は成人の約22〜30%とされ、最も患者数の多い頭痛タイプだ。スマートフォンやパソコンの普及で首の筋肉を傷める人が急増した結果、慢性頭痛の約85%が緊張型、約14%が片頭痛という構成になっていると指摘する専門医もいる。
多くの人は頭痛を「ただの疲れ」と片付け、医療機関を受診しない。実際、片頭痛患者の多くが未受診のままだという報告もある。市販の鎮痛薬を漫然と使い続けると、薬物乱用頭痛を引き起こすリスクがある。月10日以上の鎮痛薬使用は注意が必要だ。
頭痛には大きく分けて、頭痛そのものが病気である「一次性頭痛」と、脳腫瘍や脳出血など別の原因で起きる「二次性頭痛」がある。後者は命に関わる場合もあるため、初めて経験する激しい頭痛や、これまでにない症状がある場合は早急な受診が欠かせない。
片頭痛と緊張型頭痛の見分け方
片頭痛は20〜40代の女性に多く、主に片側性で拍動性の痛みを伴う。吐き気や嘔吐、光や音がつらいといった随伴症状があり、日常的な動作で痛みが悪化するのが特徴だ。一方、緊張型頭痛は両側性で締め付けられるような痛みが続き、首や肩のこりを伴うことが多い。
以下の項目に当てはまる場合は頭痛外来への相談を検討してほしい。
- ズキズキして吐き気がある、光や音がつらい
- 月に2回以上頭痛がある、または頭痛で予定を崩す
- 市販薬が効かない、効く量が増えてきた
- 痛み止めを月10日以上服用している
- 朝起きた時から痛い、首こり・肩こりとセットでつらい
- 天気や気圧、寝不足、ストレスで悪化しやすい
- 生理前後に悪化する
大阪・玉造の整体院のブログでも触れられているように、気圧の変化で頭痛が悪化する「気象病」的な傾向を持つ人も少なくない。こうした自分の頭痛パターンを把握することが、治療の第一歩になる。
頭痛外来の受診フローと最新治療
専門外来で何が変わるか
脳神経内科や脳神経外科の頭痛外来では、国際頭痛分類(ICHD-3)に基づいて診断が行われる。問診で頭痛の性状や頻度を詳しく聞き、必要に応じてCTやMRIで二次性頭痛の可能性を除外する。
東京・赤坂の頭痛クリニックのように、夜20時まで診療しオンライン診療にも対応する施設が増えている。仕事帰りに通いやすい環境が整ってきたのは心強い。
急性期治療の選択肢
軽症〜中等症の片頭痛発作には、まずアセトアミノフェンやNSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)を使う。中等症以上にはトリプタン製剤が標準治療となる。日本ではスマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタンの5剤が処方可能だ。頭痛が始まって30分以内の早期服用が最も奏功率が高いとされる。
2022年には血管収縮作用を持たないラスミジタン(レイボー)が登場し、2025年12月には急性期と予防の両方に使える日本初の経口薬リメゲパント(ナルティーク)が発売された。治療の選択肢は確実に広がっている。
予防療法とCGRP関連薬
頭痛発作の頻度が月3〜4日以上ある場合や、生活への支障が強い場合は予防療法を検討する。ロメリジンやプロプラノロールといった従来型の薬剤に加え、2021年からはCGRP関連抗体製剤(エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ)が保険適用となり、2026年4月には経口のアトゲパント(アクイプタ)も登場した。
| カテゴリー | 薬剤例 | 投与方法 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|
| 急性期(NSAIDs) | イブプロフェン、ロキソプロフェン | 頓服 | 安価で効果が高い | 月10日以上で乱用頭痛リスク |
| 急性期(トリプタン) | スマトリプタン、エレトリプタン | 頓服・皮下注 | 片頭痛発作の標準治療 | 心血管疾患では禁忌 |
| 急性期(ジタン) | ラスミジタン | 頓服 | 血管収縮作用なし | 眠気に注意 |
| 急性・予防(ゲパント) | リメゲパント、アトゲパント | 経口 | 急性期と予防の両方に使用可 | 便秘などの副作用 |
| 予防(抗CGRP抗体) | エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ | 注射 | 月3〜5日程度の発作減少 | 注射部位反応 |
| 新薬は保険適用で、3割負担なら月の自己負担はおおむね1万円前後になるケースが多い。高額療養費制度の対象となるため、所得区分によって実際の負担はさらに抑えられる。気になる費用は受診時に確認しよう。 | | | | |
頭痛日記が治療を変える
受診前1〜2カ月の頭痛回数・強さ・服用薬・誘因(生理・天候・寝不足など)を記録しておくと、診断の精度が格段に上がる。スマートフォンアプリの「頭痛ーる」や「マイグレーンレコード」が便利だ。気圧データと連動して頭痛の傾向を可視化できるアプリもあり、自分のトリガーを知る手がかりになる。
日常でできるセルフケア
頭痛を予防する生活習慣も大切だ。デスクワーク中の姿勢に注意し、1時間ごとに首や肩を動かす。首の筋肉の緊張が大後頭神経を圧迫して緊張型頭痛を引き起こすというメカニズムが頭痛学会で報告されており、首まわりのケアは理にかなっている。
睡眠は一定のリズムを保ち、寝すぎにも注意したい。休日の寝だめはかえって頭痛の誘因になる。カフェインの摂取量も一定に保つのが望ましい。雨の日の気圧変化で頭痛が起きやすい人は、あらかじめ無理のない予定を組むのも一つの方法だ。
ストレス解消とリラクゼーションを目的に、整体や鍼灸を併用する人も多い。大阪・玉造の整体院のように、頭痛の改善をうたう施術院は各地にある。ただし、慢性的な頭痛の背景に別の病気が隠れている可能性もあるため、まずは医療機関で診断を受けてから補完的に利用するのが安全だ。
地域別の受診のヒント
頭痛外来は全国の脳神経内科・脳神経外科クリニックで受診できる。東京なら赤坂や千代田区に夜間診療対応の専門クリニックがあり、大阪や名古屋などの都市部でも「頭痛外来」を標榜する施設が増えている。自治体のホームページや日本頭痛学会のサイトで、近隣の専門医を探すことができる。
初診の予約はWEBで受け付けているクリニックが多い。問診票を事前に記入できる施設もあるので、待ち時間を短縮できる。マイナ保険証の利用が可能な医療機関も増えており、受付の手続きがスムーズになっている。
頭痛と向き合う第一歩
頭痛は決して「我慢するもの」ではない。適切な診断と治療で、発作の頻度や強さを大きく減らせる。市販薬に頼りすぎている自覚がある人、頭痛で仕事や家事に支障が出ている人は、一度頭痛外来を受診してみてほしい。頭痛日記を数週間つけてから訪ねれば、医師との会話もより具体的になる。つらい頭痛を抱えたまま過ごす毎日を、変えられるかもしれない。