頭痛といっても、その正体は人によってまったく異なります。大きく分けると「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3タイプがあり、対処法もそれぞれ違います。
片頭痛は、ズキンズキンと脈打つような痛みが特徴です。片側に現れることが多く、光や音、匂いに敏感になったり、吐き気を伴ったりします。20代から40代の女性に多く、月経周期と関連して起こる人もいます。
緊張型頭痛は、頭全体がギューッと締め付けられるような鈍い痛みです。デスクワークで長時間同じ姿勢を続けたり、ストレスが溜まったりすると、首や肩の筋肉がこり固まって血流が悪くなり、痛みとして現れます。40代以降の中高年に多いのも特徴です。
群発頭痛は目の奥がえぐられるような激痛が数週間から数ヶ月にわたって毎日のように起こるもので、男性に多いとされます。耐え難い痛みのため、早めの専門治療が欠かせません。
自分がどのタイプか分からず、市販薬を漫然と飲み続けている人も多いのですが、タイプに合わない対処は効果が出にくく、かえって悪化の原因になることもあります。
市販薬と処方薬、どう使い分ける?
頭痛が起こったとき、まず多くの人が手にするのは市販の鎮痛薬です。日本では薬局で手軽に購入できるため、自己判断で飲み続けている人も多いでしょう。
市販薬の代表はロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンの3系統です。ロキソプロフェンやイブプロフェンは痛みの原因物質の産生を抑える働きが強く、アセトアミノフェンは胃への負担が比較的少ないのが特長です。
ただし注意したいのは「飲みすぎ」です。日本頭痛学会の基準では、市販の鎮痛薬を月10日以上、3ヶ月以上続けている場合は、薬物乱用頭痛のリスクがあるとされています。薬の成分が切れること自体が引き金になって、逆に毎日のように頭痛が起こる悪循環に陥るのです。
「以前より薬が効きにくくなった」「薬を飲まないと頭痛が出る」という状態になっていたら、自己判断での対処は限界です。神経内科や頭痛外来を受診し、離脱や予防療法について相談してください。
処方薬の世界では、近年の進歩が目覚ましいものがあります。片頭痛の予防薬として、CGRP関連製剤と呼ばれる新しいタイプの注射薬が登場し、従来の予防薬では効果が不十分だった人にも選択肢が広がりました。エムガルティ、アジョビ、アイモビーグなどが代表的で、頭痛外来や脳神経内科で処方されています。
気圧の変化が招く「天気痛」への対策
日本に住んでいる人なら誰でも経験があるでしょう。雨の降る前日、台風が近づくとき、季節の変わり目に頭痛やめまい、首や肩のこりを感じることはありませんか。こうした気圧変化による症状は「天気痛」と呼ばれ、日本気象協会も注意を呼びかけています。
気圧が低下すると、耳の奥にある内耳の気圧センサーが刺激を受け、自律神経のバランスが乱れることが原因と考えられています。秋雨前線や台風の接近時に症状が出やすいのはそのためです。
天気痛が出たときの対策として、次のような方法があります。
- 耳のマッサージや耳回し、首や肩のストレッチをこまめに行う
- 38度から40度のぬるめのお湯に10分から15分、首までつかる入浴
- 耳や首、肩を温める
- 睡眠と食事をしっかりとって自律神経のバランスを整える
天気痛は薬だけでなく、こうした生活習慣の工夫でも症状を和らげられます。気圧の上下が短い周期で繰り返す時期は特に、無理をせず体を休めることが大切です。
頭痛外来と代替療法の選び方
市販薬では改善しない頭痛、慢性的に続く頭痛は、脳神経内科や頭痛外来の受診を検討しましょう。日本頭痛学会の専門医がいる医療機関では、問診と神経診察を中心に、片頭痛か緊張型頭痛か、あるいは別の原因がないかを総合的に判断してくれます。
一方で、鍼灸や整体、カイロプラクティックなどの代替療法を選ぶ人も増えています。肩や首のこりが強い緊張型頭痛には、理学療法や鍼灸が効果的とされており、保険適用で受けられる施術院もあります。ただし、施術を受ける前に、一度は医療機関で頭痛のタイプを確認しておくのが安心です。
| 治療の種類 | 対象となる頭痛 | 費用の目安 | こんな人に向いている | メリット | 注意点 |
|---|
| 市販の鎮痛薬 | 軽度の片頭痛・緊張型頭痛 | 比較的手頃な価格帯 | 痛みが月に数回程度の人 | 薬局で手軽に買える | 月10日以上の使用は薬物乱用頭痛のリスク |
| 頭痛外来での処方薬 | 中等度以上の片頭痛・群発頭痛 | 保険診療の自己負担 | 市販薬が効かない人 | タイプに合わせた適切な治療が受けられる | 予約待ちの可能性がある |
| CGRP関連製剤 | 慢性片頭痛の予防 | 保険適用の範囲内 | 月に何度も片頭痛がある人 | 発作そのものを減らせる | 注射のため医療機関での投与が必要 |
| 鍼灸・整体 | 緊張型頭痛・天気痛 | 施術院により異なる | 肩こりや姿勢の悪さが気になる人 | 薬に頼らず体のバランスを整えられる | 医療機関で原因を確認してからが安心 |
すぐに受診すべき危険な頭痛のサイン
頭痛の多くは一次性頭痛と呼ばれる命に関わらないものですが、中には脳卒中やくも膜下出血など、緊急性の高い病気が原因のこともあります。次のような症状がある場合は、市販薬での対応を続けず、すぐに救急または脳神経内科を受診してください。
- バットで殴られたような突然の激しい頭痛
- 発熱や首の硬直を伴う頭痛
- 手足のしびれ、言葉がしゃべりにくい、視界がかすむなどの症状を伴う頭痛
- 頭をぶつけた後に現れた頭痛
- 50歳を過ぎてから初めて経験する強い頭痛
「MRIで異常がないから大丈夫」と言われたのに頭痛が続いている人も、頭痛外来に相談してみましょう。頭痛の原因となる多くの病気はMRIでは見つからず、問診と神経診察から総合的に診断されます。頭痛が長く続く人、鎮痛剤が効きにくくなった人は、一人で抱え込まずに専門医の力を借りてください。
頭痛は我慢するものではありません。タイプを見極め、正しい治療を選ぶことで、日常生活の質は確実に改善します。まずは自分の頭痛がどのタイプに当てはまるかを意識してみることから始めてみてはいかがでしょうか。